2014年11月13日
リール!リール!リール! その3 「なんちゃってソルティガ ―後編―」
「なんちゃってソルティガ ―前編―」からの続き・・・
「カツン」音の原因が判らないまま取り敢えず再度組立を行い、一瞬諦めの境地に入り掛けましたが冷静に原因の分析を行う事に。
ハンドルを右側に付けている時、スプールの揺動方向へのガタツキは約0.5mmになります。
さすがにガタツキが少ない平面(S字)カム方式、シマノのウォームシャフト方式の約半分です。
ところが、ハンドルを左側に付けた場合はスプールの揺動方向へのガタツキは約1mmになります。
これではスプールの揺動端で音の出易いウォームシャフト方式並みになってしまっています。
ここで、一つの仮説が考えられます。
「ブラストのスプールはソルティガZよりもかなり重く慣性力も大きいので、揺動方向のガタが大きいと打音が発生し易い」
どうやら、これがカツン音の原因の様です。
では、何故ハンドルを左側に付けるとガタツキが倍増するのか?
左側にハンドルを付ける事が原因なのか?
試しに左側にハンドルを付けた状態で、右側にもハンドルを付けてみると・・・
と言う事は、ハンドルが右側に付いてさえすれば余計なガタツキは出ないと言う事です。
では、右側のハンドルを外してスプールを前後に動かしてみると・・・
ドライブギヤ軸は動いていないのに、アイドルギヤだけがドライブギヤ軸回転方向に動いているのが確認出来ます。
では何故ハンドルを右側に付けるとガタツキが少ないのか?
右側にハンドルを付けている時は、アイドルギヤがドライブギヤ軸の2面カットフランジに直接押し付けられているので、ドライブギヤ軸回転方向に対するガタツキが出難い。(アイドルギヤの中空軸がハンドル軸ネジのストッパーの役割も兼ねている)
つまり、スプール揺動方向の余計なガタツキが出難い。
ところが、左側にハンドルを付けるとアイドルギヤは2面カットフランジに押し付けられず、軸方向に若干の遊びが出来るのでドライブギヤ軸回転方向に対する余計なガタツキも出易くなってしまう。(ハンドル軸ネジのストッパーとなるのはドライブギヤ軸)
つまり、スプール揺動方向のガタツキが大きくなる・・・
何たる事・・・
これは構造的欠陥!?
どないもこないも
対処方法がないんちゃうの?
一瞬、『こりゃ、詰んだか・・・』と思いましたが、要するにアイドルギヤのドライブギヤ軸回転方向に対するガタツキ自体を少なくすれば良いのでは?
と言う事で、ガタツキの原因となっている部分の寸法を測定してみる事に。
アイドルギヤにドライブギヤ軸がハマる部分はこの様になっています。
アイドルギヤの小判穴にドライブギヤ軸の2面カットフランジを嵌め込む事によって、ドライブギヤの回転に同調して回転します。
アイドルギヤの小判穴の2面幅は6.56mm
ドライブギヤ軸側の2面幅は6.18mm
その差は0.38mmとなります。
大した差ではないと思わるでしょうけども、そんな事はアリマセン。
精密機械的に見ると物凄い隙間が発生する事になります。
単純に片面側の隙間を考えても0.19mmもあります。
この部分の隙間が大きければ大きいほど・・・
私見ですが、組立時の簡便性を鑑みても片側0.05mm程度にはして頂きたいところです。
ところで、実はソルティガZも同様な構造で精度も同程度ですが、ブラストみたいにカツン音は出ません。
どうやらアイドルギヤ軸穴内のOリングパッキンが抵抗となって、回転方向のガタツキ緩和している為と考えられます。
さてさて、それではどうやってこのガタツキを軽減するのか?
隙間を少なくする為には詰め物をするしかありません、いわゆるシム調整が必要です。
一番簡単で手っ取り早い方法として、2面カットフランジに厚手のアルミテープを巻く事にしました。
アイドルギヤが嵌るかどうかを確認します。
バッチリガタツキもかなり軽減されています。
嵌め合い部にグリスをたっぷり充填すると、更に良い感じになるでしょう。
この状態で再度ボディに組み直してみると・・・
今度こそ、
完成!
ハンドルを左側に付けて空回ししても、カツン音は出なくなりました^^
ただ、耐久性がさほどないのでオーバーホールの都度に交換してやる必要があるでしょうね。
まあ、ギヤの効率を重視してミニマムオフセットとする為には、この様な設計になるのは仕方ありません。
構造的欠陥は冗談ですが、精度をもっと突き詰めて欲しいモノです。
ソルティガZはアイドルギヤ内にOリングパッキンが入っている為、カツン音が出難いから「気付かなかった」では済まされません。
フィールドテストを繰り返して不具合を抽出し、その対策を施してから製品化して頂きたいですね。
それでは、完成記念にソルティガブラストの着せ替えファッションショーをお楽しみ下さい
いやぁ~どっからど~観ても「ソルティガZ」ですね~(笑)
本チャンのソルティガZ4500との比較
好みもあるのでしょうけど、ブラストの明るいシルバーの方がカッコ良く見える気が・・・
その他のバージョン
スタジオオーシャンマーク バージョン
カラーがグレーなんで、ちょいと地味ですかね。
SOM&ウルクス コラボバージョン
ハンドルは12キャタリナ純正ですが、ノブをスプールの色に合せるだけでずいぶん変わります^^
金のスプール・金のハンドルバージョン
08キャタリナ4500のスプールとハンドルを付けると、巨大な「ワゴンセールリール」風ですね(笑)
スタジオオーシャンマーク “ No Limits ” バージョン
カッコいいけど、中古の本体よりもパーツ代の方が高いですね
実はコレ、ノーリミッツVer.Z4300スプールは使用不可なんですよね~
メーカーの適合表では装着可能となっているんですが・・・
ブラストのローターだと、スプール側のヒートシンクと干渉するんでどうしようもアリマセン。
ローター側突起(丸囲み部分)とスプールの金色部分
ん~~~残念 ><
しかし、何でブラストのローターにだけこの突起があるのか・・・?全く以って意味不明です。
てなワケで、最後の最後はやっぱり「なんちゃって」でしたが、ソルティガZに装着可能なカスタムスプールやハンドルの殆んどはブラストに流用可能なのでご安心下さい。
それではソルティガブラストの愛用者の皆々様方、これからも末永く可愛がってあげて下さいね゛
Posted by SUBERIST at 12:12│Comments(0)
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